2/14の攻防

「お、お願いしますっ!」
「うけとってくださいっ!」

「ま、まいったなあ二人同時になんて。ありがとう。わぁ、どんなチョコだろう。」

「さあ、こっちから見てみるぜペリペリペリ。」

「それではあけるよ。」 |

パカッ |

「こ、これは・・・・・?」

「・・・気をとりなおして、こっちのでっかい方は・・っと」

「ほどいて・・・」 |

「なんか出てきた・・・嫌な予感・・・」 |

「・・・・・バット?」

「しかも・・・・・」

「いわゆるひとつの、釘バット・・・。」

「あーっはっはっは!てめえなんか実物大チョコバットとチョコボールがお似合いなんだよばぁ〜か!」
「なに本気で目ぇ輝かせてんだこの勘違い野郎!超ウケるんですけど!」
「く、くっそ〜・・・!」
とまあ、今年2/14のバレンタインデーにもこのような、微笑ましい光景がそこかしこで展開されていたに違いない訳であります。
皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか。
今年は義理チョコの率が減り、その分本命チョコに値段をかけるという傾向であるとテレビで観ました。
バレンタインの上にあぐらをかいてきたチョコレート業界としては、ゆゆしき事態であると想像します。
まあぶっちゃけ、上のような光景は初っぱなから最後までありえない感じであり、こんな悪意のこもったチョコ贈与は微笑ましくも何ともない訳であります。
突然こんな鈍器以外に見えない棒状のものを受け取ってくれったって。引くわ。
しかし義理チョコ衰退の先、来年に向けてチョコレート業界は、新たな「●●チョコ」というコンセプトを立ち上げ大プッシュしてくるに違いありません。
それこそが「ネタチョコ」。
これは義理ですから、と押しつけるのではなく、これはネタですよという前提の方が、渡した方も渡された方も楽しいのではないか。
ここで生まれた笑顔が、今後の人間関係における潤滑油となりうるのです。
円滑な人間関係を築くのに必要なのは、義理チョコではなくネタチョコなのです。
ネタチョコ、と言うくらいだから、その形状からしてネタであった方が好ましい。
という訳で、実物大のチョコバット&チョコボールの登場、という訳でした。
・・・長々と書きつづってきましたが、要は昨年の実物大パラソルチョコに続く実物大チョコシリーズの新企画ですよ、ってことです。
早速次から、具体的なつくりかた説明に移りますよ。
あと、冒頭のような嫌がらせ&いじめのようなやりとりは感じ悪いので、みんな、マネしちゃダメだぞ!
オリジナルバット&ボールの姿
実物大をつくるにあたって、まずはメーカーから一般向けに市販されているチョコバットとチョコボールを見てみる事にしましょう。

左:チョコバット 右:チョコボール

ひんむいた
チョコバットとチョコボールといえば、子供の頃から慣れ親しんできたチョコレート菓子であります。
チョコバットに関しては、最近の若者の中には知らない人もおり、ジェネレーションギャップを感じてしまうアイテムのうちのひとつでありますが、チョコボールは今も昔も知らぬ人は居ない定番。
イメージキャラのキョロちゃんは、ファミコンにもなりました。(プレミアついてる)
しかしこれら二つは、チョコ●●と名付けられているにもかかわらず、何とも理解し難い矛盾を抱えているのです。

断面図
チョコレートは単なるコーティング材であり、表面にしか存在しない。
中には別の物質が詰まっているのです。チョコバットやチョコボールとは名ばかりか。
こんなチョコメッキで取り繕われた、偽りのチョコレート。この世に神は居ないのか。
これがもしチョコパンなどであるならばわかります。全てがチョコであればそれはもはやパンではなくチョコになってしまうから。
しかしこれは、バット・ボールの形をしたチョコとしての、チョコバット・チョコボールであると解釈するし、そう信じて疑わない純粋な子供達の心をもてあそぶ、若干詐欺行為ともとれる卑劣な矛盾なのであります。
よく考えてみると、チョコバットって全然バットの形じゃないし。
俺がつくるチョコバット・チョコボールは違う。
失われた子供達の夢を。涙に濡れた子供達に、笑顔を取り戻すために。裏切ったりはしないつもりです。
すいません、話を膨らませすぎました。
実物大チョコバットのつくりかた
まずはチョコバットをつくります。
チョコの形をしたバットをつくるにあたって、チョコを流し込む型が必要です。
一からつくるのも、棒状のチョコを削ってバット形状にするのも面倒なので、ここは既製のものを使用します。

プラスチックバット
このプラスチックバットの中は空洞になっており、この中にチョコを流し込んで固めれば、ばっちりバット型のチョコができあがるという寸法です。
まさにチョコの型となる為に存在するような、うってつけのアイテムです。

準備万端
グリップエンド部分を切り取り、中を執拗に洗浄した後、クッキングペーパーでチョコ注入口をつくり、湯煎して溶かしたチョコを流し込んでゆきます。
洗濯バサミなどを使い、型を固定しつつ、注意深く注入します。

注入中
チョコ注入口がクッキングペーパーからプラスチックの漏斗になっておりますが、これはクッキングペーパーでつくった注入口が簡易的すぎてチョコの重みに絶えきれず崩壊をおこした為であり、まあこの写真を撮るほんの数分前に今世紀最大の修羅場があった訳でありますが、やっぱり何事も慎重にいかねばならないと痛感した教訓的出来事でありました。はじめからこうすりゃよかった。
チョコはこぼれるは猫は寄ってくるはトイレ行きたいはで大変でしたよ。半泣きの攻防。
(猫はチョコを食べるとショック死してしまう危険性があります)

なかなか落ちていかないので |

ドライヤーであたためつつ |

満タン入りました
注入完了後、あいてる口をラップで塞ぎ、これを三日三晩外で放置します。
今年は暖冬なので、ちゃんと固まってくれるかどうか不安であります。
暖冬で頭を悩ますのは、スキー場関係者だけではないのです。

来たれ冬将軍
◆ ◆ ◆
放置してから三日目の夜、恐る恐る確認してみると、どうやら無事固まっているようです。
冬将軍の必死の努力の賜ですね。よかった。本当によかった。

ありがとう将軍様
室内の温度にやられる前に、素早く型から外して作業を続行するのです。
カッターナイフでプラスチックバット部分を斬り、中身を取り出します。
その甘い鈍器の姿が、いよいよ目の前に・・・。

さあ、今こそ一皮むける時なのだ! |

おお!その実体がついに・・・! |
・・・だがしかし!ここで緊急事態が!
なんとグリップ部分2カ所でもって、ハッキリポッキリ折れてしまっているではないか!
折れた部分に溶かしたチョコを塗って接着しようと試みましたが、質の違うチョコではダメらしく、もし見た目接着できたように見えたとしても、もう強度的には満足いくものにはならないだろう事は容易に想像できます。
瞬間接着剤の類で補修しようか、いっそのことまた溶かして一からつくりなおそうかとも考えましたが、時間的精神的余裕も無いので、ここは騙しだましいこうと決意したのであります。
騙すのは、自分の心。完璧主義の俺を騙せ。

痛々しい姿
当て木(プラスチックバットの破片)をし、ラップで患部を含む一帯を巻いた上から包帯でグルグル巻きにする。
バットのグリップってこんな感じになってるよね。っていう意識。
骨折の嘘応急処置みたいな感じで手当をし、よしとしました。よしとしよう。よしとしなきゃ。・・・くそう。

釘、あたため干し中 | |
さて、実物大チョコバットなら誰でも思いつくだろうな、ってことで付け加える事にしたオリジナルファクター。
いわば個性を担当する部分である「釘」の件ですが、ここから埋め込んでいく事とします。
釘として使用するのは極細ポッキー。
なんだよ、オールチョコレートじゃないのかよ、という意見もありそうですが、いいんです釘ですからこれは。
ヒーターの前に吊したピンチハンガーに、極細ポッキーを一本ずつぶら下げあたためておきます。
これはバット部分との結合をしやすくする為、チョコレートを溶かしておくという行為です。
猫がちょっかいを出しにやってきますが、注意して追い払いつつ作業に没頭します。
室温でバットが溶けるかもしれないので、迅速に進めなければいけません。
なんかゲームウォッチによくありがちなゲームみたいですねこれ。
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一方バットの方には、火であぶったアイスピック状のものでバットの腹に穴を開けます。
チョコレートが加熱され溶けるさまが何とも面白いのですが、焼けたチョコレートのにおいは結構きついものがあるので、部屋の換気はしっかりしたほうが良いと思います。
三日はチョコのにおいがとれませんでした。

ジューっと穴を開け |

その穴にチョコが溶けたポッキー(釘)を突っ込み固定 |

どんどんいきます
結構楽しいのですが、終始集中と緊張を要する為、また中腰での作業であった為、疲労が半端なかったです。
植毛って、こんな感じなのかな。
バットの腹一周、ランダムにポッキー(釘)を配置します。
固まった後、適当な長さにポッキーをカットすれば完成です。
もう少し丁寧につくればよかったと、若干後悔はありますが、よしとしましょう。

バットにポッキーの、きれいな花が開いたよ
実物大チョコボールのつくりかた
次はボールの方です。
こちらも純度100%に近いチョコボールを作っていく訳ですが、バットに比べるとそんなに苦労はありませんでした。

東急ハンズで買った半球型の素材を洗浄し、その中へ溶かしたチョコレートを流し込んでゆきます。
同じ形の半球型素材2つについて、それぞれ表面張力状態にまで流し込み終えたら、それらを冷凍庫で冷やします。
一日放置し、固まった事を確認できたら、それぞれの表面のみをドライヤー等で溶かします。
ほどよく溶けたら、ズレがないよう注意しながら双方を重ね合わせ球体をつくります。

合体
再び冷凍庫で冷やし一日放置します。
固まった頃に外側の型をはずし、接合部分の不自然な余剰部分を削り自然な感じに仕上げれば完成。
難なく仕上がってしまって少し拍子抜けです。

パカー
とくとご覧あれ
こうして完成した実物大チョコバットとチョコボール。
この完成型を、思う存分ご覧頂こうと思います。

実物大チョコバットとオリジナルチョコバットの競演

別名:甘い鈍器

いろんな意味でしねる

こちらは実物大チョコボールとオリジナルチョコボールの対比

上から見ても差は歴然

のっけてみた |

これは良いおっp・・・ゆきだるまですね |

やっぱり実物大は良い。この惚れ惚れとしてしまうような質感、重厚感。
なめらかなフォルムに黒光りする光沢。そして何よりもその狂気。じっと見ていると引き込まれそうになります。
これを掲げて、繁華街を闊歩してみたくなる衝動にかられてきます。
なんだ、俺は妖刀村正をつくってしまったのだろうか。
手にする者を魅了してやまず、その眠っている狂気すら呼び起こす凶器。
扱う者には、何事にも動じない強い精神力が必要不可欠なのかもしれません。
まあ、後はもう食うだけですけど。
ちなみにこれら、それぞれの成分データを抜粋して記載しておきます。
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実物大チョコバット |
実物大チョコボール |
| 重量 |
1.8kg |
0.6kg |
| カロリー |
10,026kcal |
3,342kcal |
| たんぱく質 |
133g |
44g |
| 脂質 |
612g |
204g |
| 炭水化物 |
997g |
332g |
| ナトリウム |
1,152mg |
384mg |
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雪山で遭難しても、これらがあれば一ヶ月くらいは生き延びる事ができそうですね。
突然のサスペンス

「やいきさま!そのチョコボールを俺様によこすのだ!」
「ダメだ!これがお前の手に渡ったらこの世はおしまいだ!命にかえても守ってみせる!」

「なにをーこしゃくな!ならばしかたがない、くらえ!」
「ぎゃっ!」

グサー

「グゴゲー!」

ばったり

「カーカカカ!素直に渡せば良いものを!しかしこれで、チョコボールは手に入れたぞ・・・」
「ざわ・・ざわ・・・」

「チョコバットとチョコボールを手にした今、この世界はわしのもんじゃあぁ!」

「神、恐るるに足りず!我は無限の力を手に入れたり!カーカカカカカ!!」
といった、寸劇の小道具としても大活躍です。
勿論、ネタチョコとしてのバレンタインプレゼントとしても、そのインパクトに役目を果たすことうけあいです。
他方面に利用可能な使い勝手の良いこのアイテム。
いかがでしょうか、来年のバレンタインデーに。検討の余地は大いにあると考えます。
ただし、渡す相手がシャレのわかる人でないと、殴られたりする危険性があるので注意してくださいね。
そして後には甘い香りが残った
昨年の実物大パラソルチョコの時もそうだったんですが、作成中〜完成三日後くらいまで、部屋の中がチョコレート臭で充満します。
ただのチョコレート臭ではなく、なんか煮詰まった感じの濃厚すぎるチョコレート臭は、なんだかだんだん別の臭いであるかのように思えてきます。
喉が痛くなり頭も痛くなる。甘すぎる臭いって毒ガスみたいですよ。
これって下手すると異臭騒ぎの類と認識され、近所に通報される事になるかもしれません。それほど強烈。
バレンタインデー直前の約一週間程度の期間、ずっとチョコレート臭を発散させている部屋って、一体どんだけバレンタインに本気な乙女が住んでいるんだろうかと近所ではもっぱら噂になっているかもしれませんが、実際はその期待を裏切るような行為の産物である事であり、大変申し訳なく思います。
でもまあ、チョコレート中毒による健康阻害など目も当てられませんので、お試しの際は換気を十分にして行う事をお薦めいたします。
ちなみにこの実物大チョコバット&チョコボールですが、これに集まって頂いた方々総勢約50名ほどで食べ尽くされました。
いや、おいしく食べ尽くして頂きました。ありがとうございました。

背後のあずまやからずっと、めっちゃ笑顔のおっさんに見られてた
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